金胡麻50%の金胡麻クランチ  ココアポリフェノール・
 ゴマリグナンリッチな
 生ショコラ
 (カカオ30%、金胡麻約40%)
食事代替型金胡麻プディング
(砂糖不使用)
ダイエット対応ラスク
(辛口ラー油使用)
金胡麻・薄皮どらやき
(砂糖不使用)
金胡麻マシュマロ
(コラーゲン・セサミン含有)

金胡麻は胡麻のロマネコンティ
良薬,口にうまし
ー和田萬の金胡麻ー
株式会社和田萬商店グループ会社,株式会社わだまんサイエンス,博士(生物資源)・管理栄養士
内田 あゆみ
 大学の研究室在籍中に,金胡麻を食べた学生から,「こんな味の胡麻は初めて」と言われたことがあった。
 確かに自分自身も,この仕事をするまで胡麻と言えば「黒胡麻」,「白胡麻」しか知らなかった。今では,金擂り胡麻,煎り胡麻は我が家でも定番調味料であり,料理の必需品になっている。本稿では,このような和田萬の金胡麻の魅力について紹介したい。

 和田萬商店は金胡麻に特化,国産胡麻栽培と胡麻文化の継承に
 120 年の金胡麻司である和田萬が「金胡麻」を主力商品に据えたのは3代目の栄三氏の時である。あえて,価格競争になる黒胡麻,白胡麻から離れ,金胡麻に特化したのは昭和40 年代である。折しも高度成長期のグルメブーム,健康志向に後押しされ,特に食通家や,著名な料理人にその価値が認められるようになったといわれる。

 和田萬のこだわりは,生産地の選定にも
 胡麻の王様といわれる金胡麻は,トルコの地中海沿岸地方産が最高級とされるため,この地域で契約栽培をしている。 さらに品質の良い胡麻があると聞けば,中国,スーダン,バラグアイなどの世界を飛び回って指導,交渉 収穫調査に当たっている。日本で消費されている胡麻は99%が輸入であるが,国内栽培にも力を入れており,国内の協力してくれる契約農家を年々増やしている。

 いまや国内産胡麻の流通の60%は和田萬の栽培指導によるものである。この事業は,胡麻の栽培による食文化の継承,国産胡麻での地域の活性化,また胡麻による「食育の啓蒙」という経営陣の熱い思いに支えられている。
  焙煎工程も旨みの秘訣
 和田萬の胡麻製品のポイントは胡麻の原料だけではなく,加工方法に差別化の大きな特徴がある。

 焙煎は風味を引き出す重要な工程である。低温で胡麻本来がもっている<旨み>を引き出し,その後の高温で<香ばしさ>をうみだしている。そのことによって,胡麻はぷっくりと芯からふくれあがり,まさに「ひらけ,胡麻!!」の香りを発散している。

 最後の胡麻の煎り加減は,社長ほか僅かなスタッフの経験による微調整が必要とされる,非常に繊細な職人技である。
  深みのある味と芳醇な香りが魅力の「金胡麻」
 白胡麻は味がマイルドで,素材である野菜の旨みをひきだすため,料理人の隠し味に使用される場合が多い。黒胡麻は特に乳製品との相性が抜群で,最近では,ソフトアイスの定番アイテムのように用いられている。しかし,「金胡麻」の味覚レベルは群を抜いている。その魅力は金胡麻の甘い芳醇な香りにある。それはどのような成分なのだろうか?

 金胡麻,白胡麻,黒胡麻の香気成分を比較した結果から,金胡麻は甘い香りに寄与するフラン類の割合が多く含まれていることが判明し,白胡麻は香ばしさに寄与するピラジン類の割合が多く,黒胡麻は胡麻特有の香が薄く,重いにおいが強いことが報告されている※1)。

 また,同報告では,金胡麻は,にぎり飯や胡麻付きクラッカーと併せても香りや総合的な評価で好まれるとされ,ナッツの香りに類似することから,菓子への用途が期待される。
※1 浅井由賀, 竹井よう子, 種皮の色の異なるゴマの品質, 日本調理科学会誌(29)4,40-45、(1996)
  胡麻の機能をコンセプトにしたデザイニングスイーツ,胡麻の低G I 値にも着目
表1 GI 値
GI 値
うどん
食パン
くるみ
マカデミアナッツ
ピスタチオ
胡麻
80
91
18
27
18
35
「持って歩くGI 値」(西東社)より
※ 胡麻の数値は,The Glycemix
Indexes Table より
(http://www.montignac.com/  index.php)
 このような,味覚レベルが高い金胡麻を主要素材に据えた胡麻のスイーツとして開発中の製品が,仮称セサミ・デザイニングスイーツ(SDS)の商品群だ。

 確かに,様々なスナック,菓子,生菓子に胡麻は使用されているが,そのほとんどが胡麻をフレーバーの1つとしてラインアップされ,「健康感」をイメージし,数種類ある風味の中で,胡麻もある,という使われ方が多い。

 このSDS の商品は「胡麻の機能を訴求でき,またそれを素材配合量,栄養素等で,表示し,しかも,味覚的にも美味しい」をコンセプトとしている。商品はどれも「胡麻の風味」というより,「胡麻づくし」といえるほど,「金胡麻」の配合量が多いことも特徴である。

 胡麻の特徴的な成分のリグナン(セサミン等)だけでも,抗酸化性,高脂血症の予防,アルコール代謝向上の機能が報告されているが,他の種実類同様に低いGI値も注目に値する(表1)。

 このGI 値の低さを生かした砂糖不使用の血糖値を上げにくい菓子,スナックや,「置き換え食品」と言われる食事代替タイプの菓子,またエネルギー代謝を促進する素材との組み合わせにより,ウエイトコントロールユースの商品も期待される。

  セサミンが約3 倍のリグナンリッチ黒胡麻
 2003 年ころから,世界各地でリグナン値の高い胡麻の種子の各地で播種試験をした結果,ミャンマーのある特定の地域に限りリグナン値が極めて高い胡麻が栽培できることが確認された。

 これが,現在「わだまんサイエンス」の主要素材となっている,「リグナンリッチ黒ごま油」であり,この黒胡麻は,リグナンが多いため,風味的にはやや渋みがある点から,もっぱら栄養補助食品として上市されている。

 面白いことに,最近ではブームもあり,この搾油を配合した「食べるラー油」が催事等でひっぱりだこの状態であり,数多くある「ラー油」の製品との差別性となっているようだ。

 今後は,ラー油のように,「リグナンリッチ黒ごま油」の味的な難点をカバーできる食材や,味覚レベルの高い金胡麻等他の胡麻と併用することで,美味しく,より胡麻の機能を訴求できる菓子,商品が市場に出ることを期待したい。

『ニューフードインダストリー』2010年9月号掲載
<参考資料>
表2 「リグナンリッチ黒ごま油」と、通常の胡麻油とのリグナン値の比較
リグナン
リッチオイル
通常の
金ごま油
通常の
白ごま油
通常の
黒ごま油
セサミン 1.50g 0.523g 0.605g 0.590g
セサモリン 0.51g 0.124g 0.218g 0.306g
セサモール 0.004g 0.004g 0.008g 0.002g
リノール酸 48.7g 39.1g 39.6g 42.0g
α―リノレン酸 0.6g 0.3g 0.3g 0.3g
試験機関:( 財) 日本食品分析センター
「リグナンリッチ黒ごま油」のゴマリグナン値については,2008 年11 月時点の実測値の平均を使用しています。金胡麻,白胡麻,黒胡麻油については2006 年9 月20 日も実測値を使用しています。
表3 胡麻の風味の違い

金ごま 黒ごま 白ごま
香り
渋み
旨味
コク
甘み
風味
クリーミー
野菜との相性
ごはん
乳製品との相性
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総合 ★★★★★ ★★★★ ★★★
総評

 金胡麻は,胡麻の王様と云われ香り旨みコクは5 つ星。特有の旨みと香りはどんな料理にも合います。

 黒胡麻は,胡麻の中でも渋みがあるのが特長です。乳製品には黒胡麻がピッタリです。

 白胡麻は,クリーミーな味が特長です。野菜の和え物や素材の味を生かす料理にピッタリです。
鰍だまんサイエンス ゴマソムリエ評価